社会保障の費用は所得の再配分が基本
社会保障の給付を先進国なみに
企業の社会保険料の負担割合を引き上げる
膨大な年金積立金を年金改善に
国民本位の財政再建で、「福祉国家」への展望を


1.社会保障の費用は所得の再配分が基本
 社会保障の費用をどうするかは、国民や企業が生み出す「社会的富」を、国が国民本位に配分することが基本です。これは世界の労働者が長年の運動によってたたかい取ってきた権利でもあり、近代国家では当然のこととして確立されてきた権利です。
 いま我が国では、長引く不況の本でも、大企業・大銀行は空前の大儲けで、ため込みは膨大な額に達しています。
 一方、その儲けを生み出した労働者は、春闘でも賃上げを押さえられ、リストラ合理化で失業の増大、長時間労働が強いられています。
 労働者の生み出した儲けを大企業・財界に独り占めさせず、国がこれを国民に還元することはまったく当然のことです。
 政治の在り方を国民本位に切り替えさせるなら、社会保障は大きく発展させることができます。

2.社会保障の給付を先進国なみに
 我が国の国民所得にしめる社会保障の給付費は、先進国の中で最低です。
 日本の14.6%に対し、スウェーデン52.5%、フランス35.6%、ドイツ31.5%、イギリス26.9%となっています。この異常な低さは、国と大企業の社会保障に対する負担が著しく低いからです。
 スウェーデンとまでは行かなくても、フランスやドイツなみに引き上げるだけでも、社会保障制度の改悪どころか、現在よりも大幅に改善できることは明らかです。ちなみに、我が国の国民所得は、400兆円です。

3.企業の社会保険料の負担割合を引き上げる
 厚生年金や健康保険の労使負担割合は5対5になっています。これをヨーロッパなみに3対7(労働者負担は据え置き)にすれば、新たに11兆円の財源が増えます。そのさい、中小企業については、労働者3、使用者5、国の負担2の割合とします。
 社会保障の企業負担は32兆円となります。これは企業にとって重いようですが、対国民所得比では9.5%となり、現在より3.2%増えるだけです。フランスの場合、企業負担は15.8%、スウェーデンは18.6%ですから、企業の社会保障負担を増やす余地は十分あるといえます。
 不況だといっても大企業の利益は増え続けています。96年度における大企業の内部留保は134兆円に達しています。

4.膨大な年金積立金を年金改善に
 年金の積立金は、毎年10兆円も増え続け、年金支給総額の5年分以上が積み立てられ、財政投融資の有力な財源となっています。
 こうした現状を改め、膨大な積立金を民主的に運用すれば、当面の年金制度改善の有力な財源となります。

5.国民本位の財政再建で、「福祉国家」への展望を
 膨大な国の借金は、国民の責任ではないといっても、無視するわけには行きません。国と大資本は、ますます社会保障費を削減し、消費税を二ケタ台まで引き上げようとしているからです。
 財政再建をすすめ、赤字を減らしつつ、社会保障・福祉を充実させていくためには、国の無駄遣いに大ナタを振ることが必要です。
 第1には、国と地方あわせて総額650兆円のゼネコン浪費型の公共事業を、「国民生活優先型」に切換、大幅に削減することです。
 国だけでも、年間10兆円を超える公共事業予算について、無駄遣いの大型土木事業や、アメリカよりも3割も高いと言われる工事費にメスを入れ、4兆円以上を削減させます。
 第2には、「新・中期防衛力整備計画」は5年間で、25兆円も軍備拡大に使おうとしていますが、これを撤回させ、これに基づいて組まれた年間5兆円の軍事費を、半分の2.5兆円に削減させます。
 第3には、大企業や大金持ちに対する、さまざまな税制上の優遇措置をやめさせ、5兆円の財源を確保させます。
 こうして、年間10数兆円の財源を確保し、財政赤字を大幅にへらさせます。
 このほか、経済成長や税の自然増収もあるので、10年後には赤字体質から脱却し、社会保障・福祉を改悪せず、一定の改善を図りながら財政を再建し、21世紀において「福祉国家」を建設する展望を切り開くことができます。